こんにちは!Webマーケティング支援メディア「ハチサポート」の専門ライターです。
ときに、事業者のみなさまや御社の従業員さまは、生成AIを業務に取り入れていらっしゃいますでしょうか?
業務効率化のために「ChatGPT」などの生成AIを活用する企業が急増しています。しかし、その裏で「社員が個人のアカウントでAIを使い、機密情報を誤って入力してしまう」というリスクが深刻化しています。
例えば、「顧客リストを整理するシステムを作って、毎日1時間かかっていた作業を自動化しました!」みたいなものを生成AIで作ったとしましょう。
生成するだけならまだしも、顧客情報をそのまま生成時にAIに突っ込んでいたとしたら…想像するだけでも恐ろしいですね。
しかしながら最近、大手パーソナルトレーニングジムを展開するRIZAP(ライザップ)において、従業員が私用の生成AIに会社の情報を誤入力した事案が話題となりました。この件で特に注目されたのは、「本人からの自己申告がなければ、会社側は発覚すらできなかった」という点です。
「うちは中小企業だから狙われない」「社員数が少ないから大丈夫」と油断していませんか?実は、セキュリティ体制が未整備な中小企業ほど、こうした「シャドーIT(リスクの自覚ないIT利用)」による情報漏洩リスクに晒されています。
今回はこのニュースを背景に、中小企業や個人事業主が今すぐ取り組むべき現実的なセキュリティ対策と、コストを抑えて安全な環境を整えるための公的支援制度(補助金・ジギョケイ)の活用法について分かりやすく解説します。
1. なぜ「私用AIの誤入力」は防げないのか?中小企業が抱えるリスク
今回のRIZAPの事例は、決して一企業の特殊なミスではありません。どの中小企業でも明日起こり得る問題です。まずは、なぜこの問題が防ぎにくいのか、その構造を理解しましょう。
1.1 ログが残らない「シャドーIT」の恐怖
従業員が個人所有のスマホや私用PC、あるいは個人用のChatGPTアカウントで業務の文章作成やデータ要約を行った場合、企業のIT管理者がその操作ログ(履歴)を追跡することは不可能です。会社側から見れば「何も起きていない」ように見えるため、従業員本人が「誤って入力した」と手を挙げない限り、漏洩の事実すら認識できません。
1.2 入力されたデータが「AIの学習データ」に使われる危険性
多くの生成AI(無料版など)は、デフォルトの設定では「ユーザーが入力したデータをAIの再学習に利用する」仕様になっています。つまり、自社の新商品情報、顧客の個人情報、業務マニュアルなどを誤って入力してしまうと、巡り巡って他社のAIの回答として出力されてしまうリスクがあるのです。
2. 現場の混乱を防ぐ!中小企業が今すぐできる3つの実践対策
セキュリティを厳しくしすぎて「生成AIの使用を全面的に禁止」にしてしまうと、業務効率化の波に乗り遅れてしまいます。中小企業に必要なのは、「禁止するのではなく、安全に使えるルールと仕組みを整えること」です。今すぐできる3つのアクションを紹介します。
① 生成AI利用ガイドラインの策定と「学習オフ(Opt-out)」の徹底
まずは、全社的なルール(ガイドライン)を作成し、周知徹底しましょう。難しい文章である必要はありません。最低限、以下の項目を明記したA4用紙1枚程度の運用ルールを作成します。
- 入力禁止情報の明確化:個人情報、顧客の取引データ、未発表の業績・企画書などは入力禁止。
- プライバシー設定の義務化:個人アカウントで利用する場合は、必ず設定画面から「データ学習をオフ(オプトアウト)」にする。
- 商用利用可能なツールの指定:業務で利用して良いAIツールを会社側が指定する。
② 「自己申告」を責めない心理的安全性の確保
RIZAPのケースで救いだったのは、従業員が自ら「誤って入力した」と報告できた点です。もしミスをした社員を過剰に処罰する風土があると、従業員は漏洩を隠蔽しようとします。「ミスをしたことよりも、報告が遅れることの方がリスク」であることを徹底し、自己申告しやすい組織風土を作りましょう。
③ 法人向けセキュア環境(ChatGPT Team等)の導入
最も確実なのは、会社が管理できる法人向けアカウントを導入することです。例えば「ChatGPT Team」や「Copilot for Microsoft 365」などの法人プランでは、最初から入力データがAIの学習に使われない仕様になっており、管理者側で利用状況をモニタリングできます。月額数千円程度の投資で、大きな漏洩リスクを回避できます。
3. 費用を抑えて安全にIT化!補助金・ジギョケイ・公的支援の活用法
「セキュリティ対策やセキュアなAIツールの導入にお金をかけられない」という中小企業・個人事業主の方は、国の公的支援制度を賢く活用しましょう。
3.1 セキュアな環境整備に使える「IT導入補助金」
経済産業省が実施する「IT導入補助金」では、業務効率化ツールだけでなく、セキュリティソフトやセキュアなクラウドサービスの導入費用も補助対象となります。セキュリティ対策に特化した「セキュリティ対策推進枠」などを活用すれば、導入コストの1/2〜2/3程度の補助を受けられる場合があります。
3.2 防災・セキュリティの計画を立てる「ジギョケイ(事業継続力強化計画)」
自然災害だけでなく、サイバー攻撃や情報漏洩といったリスクへの対応力を高めるために、国の認定制度である「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」に取り組むことをおすすめします。
ジギョケイの計画内に「情報セキュリティ対策(ガイドラインの策定や社員教育など)」を盛り込んで国の認定を受けることで、以下のようなメリットが得られます。
- ものづくり補助金やIT導入補助金での「加点措置」(採択率がアップ)
- 日本政策金融公庫からの低利融資
- 税制優遇(対象設備の即時償却など)
3.3 公的機関の無料相談窓口を活用する
自社だけでガイドラインを作るのが難しい場合は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が提供している「中小企業向け情報セキュリティガイドライン」を参考にしたり、地域の「よろず支援拠点」や商工会議所のIT専門家派遣サービス(無料)を利用してアドバイスを受けるのも非常に有効です。
まとめ:リスク対策とAI活用を両立させ、強い組織へ
生成AIは、人手不足に悩む中小企業にとって非常に強力な武器になります。しかし、刃物と同じで、正しい使い方を知らなければ自社や顧客を傷つける刃となってしまいます。
今回のRIZAPの事案を他山のお石とし、まずは「私用AIの利用実態の把握」「簡易ガイドラインの作成」「オプトアウト(学習オフ)設定の周知」から始めてみてください。
さらに、IT導入補助金やジギョケイ(事業継続力強化計画)といった制度を上手につなげながら、安全かつ効率的なWebマーケティング・業務基盤を構築していきましょう!
